夢奇房第13回公演『空とぶクジラと見えない空と』

カウントダウンインタビュー 第7回

夢奇房第13回公演まで、あと2日です。

カウントダウン第7回目は、主人公の絵本作家・ピクト役の鈴木さんと、彼の前に現れた1人の女の子・イルマを演じる池端さん。
2人とも、夢奇房の舞台に立つのは昨年に続いて2回目ですが、今回の公演ではもっともっとストーリーに深く関わってくるんだとか……早速聞いてみましょう!

夢奇房第13回公演『空とぶクジラと見えない空と』

――ついに主人公ピクトの登場です!
まずはじめに、ピクトってどんな人なのか自己紹介をお願いします。

鈴木:僕の演じるピクトは絵本作家の青年ですが、まず言えることは子どもが大好きだってことですね。
自分の描いた絵本を児童館にいる子どもたちに読み聞かせに行くんですが、その児童館も、おそらく最初は自分から乗り込んでっちゃった性質だと思います。

――なかなか積極的ですね。

鈴木:ちょっと調子に乗っちゃうところがあるんです。調子のいい人っていうか(笑)。
でもその反面、思い込んだら周りが見えなくなるところもあります。

――確かにそんな性格、物語の中でちょいちょい垣間見えますね。

鈴木:何かにぶつかったら、深みにはまって思い詰めちゃうような……!

――いい意味でも悪い意味でもまっすぐなんですね。

鈴木:ピクトが2冊目を描くシーンがあるんですが、最初いただいた脚本には「僕はすぐにアトリエに戻って絵本を“描き上げた”」って書いてあってびっくりしたんですよね。
「うそでしょ!?もう描いたの! 決めたら早いなこの人!!」って(笑)

池端:(笑)

――そこの台詞は変えたみたいですけれど、それはまさに脚本にかかれていた“ピクト像”なんでしょうね。

鈴木:そうですね、彼はとても一直線!で、結構エネルギッシュな人なんだなぁと思っています。

――さあ、そんな一直線なピクトの前に現れたのが、イルマちゃんという女の子ですが?

池端:私が演じるイルマちゃんは、とてもピュアな女の子です。
絵本が大好きなんですが、その世界の中にいるものを、生きた存在としてとらえてる。
自分たち生きてる人間と同じように感情があると思っているんですね。

夢奇房第13回公演『空とぶクジラと見えない空と』

鈴木:なるほど、そうだね~。

池端:人だけじゃなくて、魔法使いや動物、そのほか出てくるもの全部、気持ちに動きがあると思ってて、それに自然と寄り添っているんです。

――脚本・演出担当が、イルマのキャラ設定を“絵本の中にいるよう”ってしていますよね。

池端:はい、絵本の中の世界で一緒に同じ空気を吸っているような感覚なのだと思います。

鈴木:ピクトは絵本の外側の世界にいるから、それだからこそ、そんな彼女に翻弄されちゃうんですよね。

――そうか、ピクトは描いているから“外側の人間”なんですね。

鈴木:彼も本来は“絵本の中”側だったんだと思いますが……

――ピクトももともと、絵本が大好きなんですものね。

鈴木:作り手になってから、外側になっちゃった……のでしょうか、描きながら登場人物の役割を考えて、こういう設定にしよう、こういう要素を入れようとか、考えてしまうんですよね。

――でもイルマはそんなことに全くとらわれず、素直に受け止めて感じたことを言う、と。

鈴木:だから、「あ、そんなとらえ方もあるのか」「こう受け止めるのか」ってピクトははっとするんです。

――イルマは、空想するのが好きな子なんでしょうか?

池端:空想というか……自分から新しいのを考え出すんじゃなくて、彼女にとって親しみのあるもの、例えば空とかお天気とか、そういったものと心の中でお友だちになっているんだと思います。

――なるほど! 池端さん自身、そんなピュアなイルマを演じてみて、どうですか?

池端:すーっごく難しいです! 子どものころの感覚って私どうだったかなあって考えたけど、当時のままに思い出せなくて、とっても苦労しました。

鈴木:実際、小さい頃はどんな子だったの?

池端:そうですね~、ちょっと、ませていたかも。

鈴木:えっ、そうなの!?

池端:落ち着いていて、一歩引いたところから周りを見ていたと思います。

――なんだか大人っぽいですね、イルマとは違う印象。

池端:あと、分からないことがあったらすぐ大人に聞いちゃう。「なんで? どうして?」っていうのが口癖でした。

――あれ、それイルマと似てません? ピクトに何度も「どうして」って言ってますよね。

鈴木:い、今ドキッとした。

池端:またイルマちゃんに「どうして?」って?

鈴木:言われたかと思った(笑)。

池端:(笑) でも……あれ、そっか!イルマちゃんってこういうところが私と似てるのかもしれないです。
だからこそ惹かれたのかも知れません…… 直感で、この子やりたい!って思ったんです、今回の公演の構想を聞いたときに。

鈴木:そうなんだ!

池端:でも私、頭で考えてばかりな性格なので、彼女と正反対なんだと思います。
だからこそ彼女から得られるものはたくさんあるでしょうけれど。
一時期はもう、どう演じるか考えちゃって考えちゃって、感じるってことが分からなくなってました。
感じなきゃって思ってるのに。

――「感じなきゃ」って、頭で考えてるんですよね。

池端:頭でっかち人間あるある、です(苦笑)。

鈴木:(笑)

池端:案外、ボーっとしてる時にヒントが降りてくるんです。不思議ですよね~……何度もありました、生い立ちをぼんやり考えていた時にふっとヒントが降りてきたり。

夢奇房第13回公演『空とぶクジラと見えない空と』


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