「ルーフボーイ」にご来場くださった皆さま、誠にありがとうございました。
公演がほんの数週間前の出来事とは信じられないくらい、あっという間に日常に戻ってしまいました。
私は仕事に余裕があるときや、逆に切羽詰まってどうしようもないとき、昼休みに会社の近くの公園に行っては、ベンチに座ってぼーっと風景を眺めることがあります。
寒さもゆるみ始めた3月半ばの今ごろは、ちょうどいい時期です。
母親に見守られている安心感に包まれながら、見せつけるようにはしゃぎまわる女の子、
おぼつかない足取りで何度も何度もすべり台にのぼる男の子、
私と同じように座って買い弁を広げる勤め人、
目の前をテコテコとハトなんかも歩いてたりして、
おもしろいなあ、と眺めています。
一種の現実逃避です。
そして自分でも気づかないうちに、夢想がふくらみ始めます。
たとえば、空とつながる屋根の上。
そこでずっと過ごしてきた少年の目に映る世界。
誰からも干渉されず、話しかけることもない。
人々の習慣は日々の観察を通してなんとなくわかるけれども、行動原理は理解できない。
その少年が変わるきっかけがあるとしたら、何だろうか。
2年前、昼下がりの公園でのふとした思い付きが、ルーフボーイの原型になりました。
演出家としてまだまだ青いせいもあるのでしょうが、練習が進むにつれて少しずつ、頭に描いた光景が形になっていくさまは、とてもワクワクします。
今回の舞台を作るにあたって、メンバーのみんなには本当に助けられました。
迷惑かけつつ支えられつつ、なんとかやってこられましたが、ただ、やはり何といっても観に来て下さる皆さまがあってこその夢奇房です。
ぜひまた、次の公演でお会いしましょう。